Back
Featured image of post イルカの人、恋を知る。

イルカの人、恋を知る。

VRSNSを介した恋愛に関する一検討

ツイート
(サムネイルは適当な最近のスクショ)

はじめに

 こんにちは。バーチャル美少女のイルカの人です。突然ですが、皆さんは、「恋」をしたことはありますか?わたしはありませんでした。――つい最近まで。

縁と無縁の暮らし

 わたしが恋を知らなかった理由は簡単で、単に対人恐怖症で倒れて以来人との交流はあっても、互いの信頼度が些細な会話やしぐさで大きく変動するような 「対峙」 的な関係を持つことがほとんど、というか全くなかったがために、他人に対しての好意がLikeとLoveの二択ではなくLike一択になってしまっていたのです。もちろん10年くらい前にはクラスのマドンナに好かれるべく奔走していた時期もありましたが、それは純然たる恋というよりは、大人になるために誰もが本能的に行う 儀式の一種 だとわたしは捉えています。
 ですから恋なんてものとは無縁で、他人を嫌いとも愛おしいとも思わず、ただ対人恐怖症に由来する性善説的な、誰にでも笑顔を振りまくスタンスを貫いていたのですが(わたしは「VRSNSは精神科ではない」という考えを持っているのですが、その一方でVRSNSに救われている人間の一人でもあります)、つい最近「恋」に目覚めたのです。

これが「恋」?

 「恋(こい)とは、特定の相手のことを好きだと感じ、大切に思ったり、一緒にいたいと思う感情。」――出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 恋をしたとき、わたしはその感情が一体なんなのか分かりませんでした。その人と無性に会いたくて、もっと話したくて……もちろんその感情が尋常なものでないことはすぐに分かりましたが、しかしてその正体は掴めずにいたのです。そこでTwitterで打ち明けてみたところ1、「それは恋だよ!」という返答をもらい、それが恋だと気付いたのでした。確かに恋の定義と照らせばわたしの内に発生した感情はそれぞれの特徴にぴったり当てはまりますから、これが恋なのでしょう。

イルカの人の異常な愛情

 ――で、このCOVID-19のパンデミックにおいて一体どうやって恋をしたのかという話ですが、まあ単刀直入に言えば「VRCのフレンドに恋をした」のです。自分でも人生初の恋の相手がバ美肉おじさんなのはどうかと思うのですが、そうは言ってもしてしまった恋はどうしようもありません。
 それはさておき、バ美肉おじさんに恋をするという事象にはいくつかの興味深い点があります。本項ではそれらの点を列挙していきます。

自我の認識はどうなっているのか

 VRSNSには自分の性別や年齢と全く異なる容姿で他人とコミュニケーションが取れるという特徴がありますが、故にわたしはバ美肉おじさんとして恋をしているのか、それともバーチャル美少女として恋をしているのか、つまりアバターがわたしを演じているのか、それともわたしがアバターを演じているのかが分からないのです。しかも相手のフレンドのことを男女どちらと捉えているのかもわからない。実は「中性」あるいは「無性」として恋愛をしている可能性すらあります。

恋の目的はなんなのか

 バ美肉おじさんに恋をするというのはつまり相手にはコミュニケーション以上のことを望んでいないということであり2、それは人間に動物として備わっている生殖と種の保存というパートナーを求める目的とは相反しています。しかし「大切に思ったり、一緒にいたいと思う」という恋の定義からすれば、VR空間で隣に座り談笑しあうという状態は、すでに恋が成就していると言えるのではないでしょうか。もしかしたらバ美肉おじさんとの恋愛は、恋のあり方を再定義しうるかもしれません。

活動の変化

 恋を知ったことで、わたしの思考や行動にもその影響が現れるようになりました。「料理をしてみようかな」と考えたり、「眉を細くしたいな」と思ったり――いわば色気づいてきたのです。確かに恋をした人間に現れる変化としては至って妥当なものですが、しかしわたしの肉体は男性のものですし、性自認も男性です。にもかかわらず「恋の成就」という目標に対しての意思決定に女性的なバイアスが生じているという事実は、前意識の領域がバーチャル美少女としてのわたしに侵されている可能性を示唆しています。
 確かにVR空間での体験が性自認に影響を与えるということは学術的な裏付けも存在しているので比較的ありうる説ですが、果たして……。

おわりに

 こんなとんでもない記事を最後まで読んでいただけたことに感謝を申し上げます。もしこの記事の内容に思い当たる節があったら、ぜひわたしにも教えてください。
 04/27追記:成就しました。


  1. 寝ても覚めてもTwitterばっかりしてるので割となんでもツイートしてしまう癖がある ↩︎

  2. 一部例外はありますが、それらは種の保存を目的としていないのでここではコミュニケーションの一部と考えます ↩︎

Licensed under CC BY-NC-SA 4.0
最終更新 Apr 27, 2021 03:00 +0900
comments powered by Disqus
Built with Hugo
Theme Stack designed by Jimmy